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里山長屋暮らし~藤野プロジェクト

里山長屋暮らし~藤野プロジェクト

住まいとは、その人の人生の縮図であり、どう生きたいかという未来への希望である。それゆえ人は、震災などで家を失ったとき、その経済的な損失以上に大きな悲しみと喪失感を味わうことになる。しかし、住まいが持つ精神的、社会的重要性や可能性について学んだり、実際にどのようにつくっていくべきものなのかを知る機会はとても少ない。大きく社会が変革する今、住まいのあり方、暮らし方を一緒に模索することを通して、新たな可能性を共有しようとする人たちがいる。キーワードは、里山と長屋だ。

(文/岡崎エミ)

新宿から中央線の特別快速で高尾まで1時間弱、そこから甲府方面行きの普通列車に乗り換えて2駅目。今回の「里山長屋暮らし」の舞台である神奈川県相模原市藤野町は、乗り継ぎが上手くいけば、都心から1時間ちょっとで来られる比較的身近な「里山」だ。太平洋戦争の末期に、画家や美術評論家などの芸術家たちが多く疎開してきたことを皮切りに、1986年から「藤野ふるさと芸術村構想」、88年から「藤野ふるさと芸術村メッセージ事業」をスタートさせ、今では「芸術の町、藤野」の名で知られている。2004年からは「ノーマライゼーション特区」(*1)に認定され、2005年にシュタイナー学園(*2)が開校したこともあり、藤野ならではの、芸術や教育環境に惹かれ移住してくる世帯も多いという。
そんな藤野町の200坪の土地に、4世帯が集まって、共有スペースを併設した住まいをつくり、持続可能な暮らしを模索するプロジェクト。それが「里山長屋暮らし~藤野プロジェクト」だ。

偶然は必然?! 小林さん、運命の土地と出会う

このプロジェクトが発足したそもそもは、きわめて偶然、思いつきからはじまったという。3年前、藤野に移住してきた小林一紀さん・恵里奈さん夫妻は、賃貸暮らし。そんな中ふと「藤野の土地っていくらなんだろう」と思い立ち、インターネットで検索したという。そこで、なんとなく良さそうと思った土地を見学にいったところ、その土地の隣に広がる土地に「一目ぼれ!」。
「藤野では珍しい日当たりのいい南斜面で、山地と畑に囲まれた土地でした。もう直感でココだって決めました(笑)」(恵里奈さん)。
早速、土地購入を考えるのだが、そんな折友人である池竹則夫さんが「どこか土地を探しているのですが」と連絡してきた。「ならば隣の土地が空いていますよ」ということで、2軒の家の設計を仲間である建築家の山田貴宏さん依頼したのだった。
「最初は、池竹さんとウチの間に、共有スペースをつくって行き来できたらいいな、と考えていたんです。でも、2世帯では対立したら逃げ場がない(笑)。もっと世帯数を増やせたら、コミュニティをつくりだせるのではないかと考えたんです」(一紀さん)。
そこで、一緒に住む人を募り、家づくりを公開しながら、多くの人と新しい暮らし方を考える「プロジェクト」を立ち上げることにしたのだ。舵取り役には、山田さんが兼務となった。
2世帯で始まったこのプロジェクトだが、数回目の勉強会に参加した小山玄さん、美佳江さん夫妻が、「即決」で参加を表明。もう一世帯ぐらい参加して欲しいな、と思っていたところに、なんと設計者である山田さん夫妻が住むことになった。こうして2008年10月4世帯8名(山田家としての参加は10月から)で里山長屋づくりがスタートした。

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