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里山長屋暮らし~藤野プロジェクト

里山長屋暮らし~藤野プロジェクト

日本版コハウジングは、長屋暮らしに学べ

現在の計画では、200坪の敷地に20~22坪ほどの個々の世帯の住居が一続きになった長屋とゲストルーム機能もついた共有スペースが一筋に連なって建つという。各戸の中の間取りは、それぞれ違い、一世帯にひとつずつ鍵穴型の菜園(キーホールガーデン)がつく。それぞれの世帯が支払う金額は、土地と建物を合わせて2500万円前後。資金の借り入れなどは市民バンクなどから、他にも国交省の長期優良住宅先導的モデル事業にも提案申請している。
里山長屋暮らし~藤野プロジェクトがつくろうとしている住宅は、いわゆるコハウジングと呼ばれる共同コミュニティ住宅だ。コハウジングとは、北欧で生まれた、多世帯が共に住む、住まいのあり方で、個々の居住のほかに、共有のリビングやキッチン、ラウンドリーなどが設けられ、交代で食事をつくったり、一緒に食べたりすることなどで、交流を深めていくというもの。
「このプロジェクトもコハウジングの一種ですが、輸入された概念で言うよりもいい表現方法はないか考えたんです。そうしたら、日本には『長屋暮らし』があるじゃないかって思いつきました」(山田さん)
共有スペースには、広間があり、ワークショップなどを開催する予定だ。そこは、居住者だけでなく、地域の人にも開放し、農作業や手仕事を通して、里山ならではの暮らしを実践していく場となる。
長屋の意味するところ。それは、共有すること、シェアリング。助け合いやおすそ分けといった、かつて長屋で行われていたような日本人にあったコミュニティをつくりたい。そんな思いが「長屋」という言葉には込められている。

トップダウン型のリーダーはありえない。とにかく話し合うことで意思決定

このプロジェクトでは、家づくりの一つ一つをメンバーの4世帯全員で共有し、様々な課題をすべて話し合いで解決、決定している。
「このプロジェクトでは、多数決はありえませんね。納得解が基本です」(池竹さん)
例えば取材のこの日、10以上並んだ議題の一つは「炭」。埋炭用の炭はどのくらい必要で、どうやって手に入れるかであった。「できたら自分たちで炭もつくりたい」「身のまわりにも体験したい人が結構いるよ」「藤野で炭焼き体験ができるけど」「いつなら職人さんは大丈夫?」「一度にどれだけつくれるのか」「足りる? 足りない?」「竹炭の材料である竹はどうする?」などなど。メンバーで議論しながら、「井戸端情報網」を持つ恵里奈さんが、ケータイ片手に地元の人に問い合わせ、「今の時期伐る竹ではいい炭はできないらしい」とわかれば、「この前、竹小舞用にみんなで伐った竹を使えるのでは?」と玄さんが言い、「現場の状況から判断して、炭を埋める段取りは……」と山田さんが説明する。その横で、美佳江さんは議事録を書いている。毎回の打ち合わせ内容をブログにアップし、興味のある人と情報をシェアする。彼らのチームワーク、見事な役割分担、ふわりとした暖かな雰囲気は、そのブログを読めば感じられるはずだ。
ブログでの情報公開のその一方で、同じ空気、同じ場の中で、体験をシェアすることも大切にしている。特に里山暮らしへの理解とスキルアップは、ワークショップの中心的な存在になりそうだ。例えば今企画しているものは、池竹さんが先生になり美佳江さんが調理を指南する山菜採りツアー。これをマスターすれば、春の山は食材の宝庫になるだろう。また、竹小舞や土壁づくりのワークショップも計画中だ。できることは自分でやるというDIY精神は、里山暮らしの基本にもなるし、里山長屋をブラックボックス化しないためにも役に立つ。これら住まい手が必要だと思うことは、どんどん実践の場として、居住者以外の人とシェアするのが、藤野プロジェクトの目指すところだ。
一紀さん曰く、このみんなで家づくりをすることは「想像を超えた面白さ」なのだそう。だからみんなにもおすそ分け。家族だけが家族じゃない、プロジェクトの4世帯は大きな家族であり、地域の人も、まだ見ぬこれから出会う人も、こういう生活の面白さをシェアしてほしい、そんな気持ちが根底にあるようだ。

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