トージバ・大豆レボリューション
食と農をフィールドに、都市と農村をつなげ、人々が集う「場」をデザインしている人たちがいる。その名は「トージバ」。湯治場から由来しているこのNPOの名前は、まさに人の心と体を癒す大きな湯船のようだ。彼らの仕事は、人が集い、交流し、何かを生み出す「場」を運営することだけではない。「場」の「カタ」をつくって、全国どこでも誰でも同じ「場」をつくれるように、「場」のオープンソースを提供しているのだ。「場」のネットワークから日本の衣食住を変える試みを取材した。
(文/岡崎エミ)
今回、トージバを取材したいと申し入れたところ、代表の渡邉尚さんからメールが届いた。
「トージバは、場をつくり、場を通じて活動している団体です」と。
場づくり? 大豆づくりじゃないの? 実は、個人的に「大豆レボリューション」の名前をいろんな場所で目にしていたので、トージバってどんな人たちなのかな、という興味もあって取材を申し込んでみたのだ。しかし、それはどうも「味噌やしょうゆ、豆腐といった日本食には欠かせない大豆は自給率5%! もっと大豆をつくって自給率を上げよう! おー!」という感じの人たちではないらしい。では、何をつくり、何を売っているところなのだろうか。
トージバは湯治場。心と体を癒し、人と人が交流する場
代表の渡邉さんは、大学時代から国内外の様々な地域をバックパックひとつで旅をして歩いたという経験の持ち主だ。海を渡れば、世界中の若者が集まるゲストハウスなどの「場」があり、国内を旅すれば、地元の人と旅人が集う「場」、湯治場があった。思い返せば、子どもの頃には、銭湯があり、寺では祭があり、子どもには駄菓子屋があり、常に人が集まる「場」があったではないか、そう渡邉さんは気づいたという。
「場」。それは、単なる空間のことではない。人が吸い寄せられるような魅力のある場では、互いがつながり、癒し癒され、生活を豊かにすることができる空間になれる。ならば、今の時代にあった「場」をつくることはできないのか、それが「トージバ」のはじまりだ。
人と人との交流を生み出す「場」として、渡邉さんが選んだフィールドは、食と農。そして、都市と農村の交流だ。そこから「文化に根ざした本当の持続可能な循環型の地域社会」を目指す、これがトージバの使命である。
「場」づくりの雛形は、オープンソースとして提供する
今現在、トージバが提供している「場」は5つ。「農の場」では、「大豆レボリューション」と「バンブーファクトリー」。「市の場」では、「アースデイマーケット」。「カフェの場」では、「フードハートパーティ」と「半農半X」。「祭典の場」では、「土と平和の祭典」。「宿坊の場」では、「棚田チャレンジ」と「暮らしの野良塾」。ざっと挙げただけでも、8つのプロジェクトを抱え、人々に「場」を提供している(それぞれの具体的な活動内容は、トージバのHPをご参照ください)。
2008年の大豆レボリューションだけで、全国で11ケ所展開していたというのだから、こんなにたくさんのイベント、主要メンバー4人+αというトージバでは、さぞ、忙しいだろうと思うのだが、すべてのプロジェクトで渡邉さんが終始動いているということではないようだ。
「僕たちは、カタをつくってそれを全国で展開できるようにしているんです。誰でも使えるオープンソースとしてのカタです」。
つまり、どういう人がどう動けば、この場が運営されていくか、人の役割とお金の流れ、それぞれのメリットをデザインしているといえよう。
