放課後NPO After School!!
世田谷区の新BOP事業にて
ぜひプログラムを体験してみたいと、最初に訪れたのは、世田谷区のとある小学校だ。世田谷区には行政が行っている放課後遊び場事業「新BOP(ボップ)」というものがある。BOPとはBase of Playingの略で、放課後に「遊びの基地」を提供するというものだ。学童クラブの機能を併せ持ち(学童クラブは有料、新BOPは無料)、一緒に活動することで内容を充実させるのが目的。各学校には区から指導員が派遣され、児童の自主性に任せながら、季節に合わせたイベントやスポーツ、文化系の活動などが行われている。
すでに行政が主導し、成果をあげている新BOP。放課後NPO アフタースクールを受け入れる価値とはどこにあるのだろう。新BOP事務局長の中田祐一さんに伺ってみた。
「放課後NPOアフタースクールのプログラムのときの子どもたちは、いつもとは違います。今回はFC東京さんに来てもらいましたが、やはり先生が『憧れ』の対象であることが一番大きいのではないでしょうか。今日は塾を休んで来たとか、始まる前から『サインもらっていい?』っていう子もいましたからね(笑)。サッカーのようなスポーツへの参加は、通常男子の参加が多いのですが、今回は普段部屋遊びをしている子や女の子も参加していました。途中で集中も切れず、悔しくて泣き出す子もおらず、やっぱり指導が上手いんでしょうね、びっくりしました。我々も様々な企画をやっていますが、こうしたプロをコーディネートするのは、簡単ではありませんから、ありがたいかぎりです」
「本物の先生」のプロの技は、子どもにとって憧れの的
放課後NPOアフタースクールのプログラムには、こだわりの4本柱がある。「本物の先生」「誰でも参加」「継続型」「発表の場」だ。そのひとつ「本物の先生」へのこだわりは、放課後NPOアフタースクールの一番の売りなのではないだろうか。今回先生になってくれたFC東京の方々は、昨シーズンまで選手として活躍していたコーチも参加してくれ、リフティングや軽快なボールさばきを披露。さすがに学校の先生ではこうはいかない。
「日本の子どもたちほどヴァーチャルな生活をしている子はいない、とある人に言われたことがありました。リアルな体験がすごく少ない。でもプロの先生のプロの業を目の当たりにすることは、子どもに強烈な印象を与えてくれます。『大人ってスゲーな』って思ってくれることが一番うれしいんです。大人への憧れが薄らいでいる今こそ、やっぱり大人ってスゲーという感動は必要だと思います」(平岩さん)
裏を返せば、この活動に参加した大人の側も子どもにスゲーといわれる時間、自分の仕事を改めて見つめなおす時間を持つことができるということだ。
「実は、参加した大人のほうが、子どもに元気をもらって帰っているんです」(平岩さん)。
実際、見学させてもらった取材班も、真剣なまなざしで先生の話を聞き、プログラムに熱中している子どもたちを見ていると、なんだか不思議と爽やかな気分になることができた。子どもが「大人ってスゲー」と思っていると同時に、「子どもってスゲー」と大人も感動しているのではないだろうか。
「子どもの純粋さに感動しました」とは、FC東京の川口信男コーチの感想。通常のサッカースクールでは技術の向上が目標のひとつだが、放課後NPOは「放課後を遊ぶ」ことが目的。年齢も運動能力も違う子どもたちと一緒にやるからこそ、「今、面白い」を一緒につくりだすことが一番の目標になる。「自分自身が楽しむことを目指した」というプログラムは、ウォーミングアップの鬼ごっこあり、選手のディフェンスをかわして通り抜けるゲームあり、年齢も性別も体型も違う子どもたちが参加していたのに、まったくその差を感じさせないくらい、どの子も笑顔がたえない楽しい時間になっていた。FC東京の面々にも、いつものサッカースクールとは違う活動は刺激になったようだ。
