土祭ーEarth Art Festa 2009 in Mashiko
栃木県益子町。民藝運動創始者のひとり濱田庄司が作陶し、世界的にも益子焼で有名なこの町で今年、ひとつの文化イベントが開催された。その名は「土祭/ヒジサイ」。「土」、つまり我々の足元にある大地をテーマにした、新しい「土着の祭典」だ。アートイベントは数多くあれど、ここまで「土」「地域」にこだわり、クオリティにこだわったイベントは、類を見ない。しかも、これを町民と役場の職員でやってしまったのだから……。「イベントでまちづくり」。益子町が挑んだ、予期せぬ壮大な社会実験である。
<文/岡崎エミ>
「こんなにおっきぐなるはずじゃ、なかったっぺよ~」。
そう、呆れ顔で振り返るのは、土祭を取り仕切る担当課であった、益子町役場産業観光課課長三宅明男さんだ。
開催日数16日間、展示数9、コンサート開催日数10日間、セミナー・会議開催日数5日間、朝市・カフェ・バーの開催、オリジナル商品開発……。総プロジェクト数28、ボランティア数約450名。これらをたった半年間(実質3ヶ月間)で、町役場の職員と町民との協働でつくりあげる。それが、産業観光課商工観光係、土祭事務局の仕事だった。
そもそもこの土祭、最初から「まちづくり」を意識していたわけではない。おそらく、直島(※1)とか、越後妻有(※2)といった、現代アートを町の中に点在させるアートイベントのちっちゃい版をこぢんまりとやれたらいいなー、という程度だったはずだ。誤解を恐れずに書けば、益子町民、いや旗振り役の益子町役場のほとんどが、それ以上のイベントを想像することもできなかっただろうし、アートイベントすら、どんなものか体感したことのない人たちだった。それが、何の因果か、アートイベントを超え、「土祭そのものがまちづくり」(大塚朋之益子町長)になってしまったのだ。時間ない、金ない、人材ない、ノウハウない、のナイナイづくしの中で、身の丈をはるかに越えたイベントがもたらしたものとは一体何だったのだろう。
