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土祭ーEarth Art Festa 2009 in Mashiko

土祭ーEarth Art Festa 2009 in Mashiko

土をテーマにしたイベントにはその土地に生きる人による運営を

どんな作家さんに参加してもらうか、ポスターやガイドブック、WEBのデザイナーの選定、方向性やイメージ。骨格は、総合プロデューサーである馬場さんが行った。それを具現化したのが、土祭プロジェクトチームである。
プロジェクトチームは、マネジメントプロジェクト部門、イベントプロジェクト部門、フリンジ(町民企画)プロジェクト部門の大きく3つの部門にわかれており、それぞれに、レセプションチーム、お茶・食事チーム、救急チーム、交通チーム、広報チーム、竹チーム、会場設営チーム、音楽ライブチーム、土人形チーム、土の舞台チーム、朝市チーム、夕焼けバーチームなどなど、計28のチームがそれぞれのプロジェクトを推進していく方法をとっていた。
各チームは、役場職員と町民のボランティアで構成(チームによっては役場職員のみ)。事務局によるお膳立てではなく、町民と役場職員がともに汗をかこうという「協働によるまちづくり」の一環で、大塚町長の理念の具現化とも言えるものであった。
しかし、5月下旬に職員説明会、6月6日に住民説明会を行い、6月の半ばにチームを編成。9月19日が土祭の開催日だったのだから、たった3ヶ月間で素人集団がイベントをつくり上げなくてはいけないという強行スケジュール。よくぞここまでこの短期間に、素人ばかりがつくりあげたなと、イベント運営を経験したことのある人たちは、口をそろえて言う。
チームリーダーと副リーダーを中心に、与えられたミッションに向けて、4回の全体会議(全チームの正副リーダーが参加)、4回の相談会と称したチーム会議。慣れないイベントづくりに、右往左往、四苦八苦するプロジェクトチームを、叱咤激励しながら、取り仕切ったのが、studio-Lの西上ありささんだ。
「私たちが、こうした非営利組織をマネジメントするときのステップは、①この場にいる意味を説明する(プランドハプンスタンスセオリー)、②こころをほぐす(アイスブレイク)
③ワークショップ形式で話し合う、④仲間をつくる(チームビルディング)といった感じです。土祭でも同様です。しかし、いかんせん時間がなかったですね。チームビルディングはもっと時間をかけたかったです」
各チームにリーダーはいるが、すべての作業工程を把握しているわけでも、その作業の専門家でもない。こうしたボランティアの活動に必要なのが、西上さんのような伴走者なのだ。「何が分からないのか分からない」といった状況において、ゴールは何なのか、今はどの地点にいるのか、じっくり話を聞き、チームメンバー自らが課題を見つけ、解決する力を引き出すのが役目だ。
そんな彼女が難しかったというのは、馬場さんが描いたクオリティ、つまり都会から来たお客さんが満足し、感動するクオリティをいかに素人が実現するか、ということだったという。
「住民参加でかっこいいことをするのは、難しいなと思いました。善意が土祭そのものの質を下げてしまうこともあるので、そのコントロールが難しい」(西上さん)
なぜ、そこまで形にこだわるのか、なぜ、これではダメなのか……。完成したものを想像できないがゆえに、自分たちが今何をやっているのか、どういう意味があるのかを見出せず、苦しんだ人も多かっただろう。都会的な美的感覚やサービスレベルなど、エモーショナルな感性を共有することは難しい。いわんや、地方の町の普通の町民ならなおさらである。
しかし、その苦難を乗り越えた末に作り出した土祭は、手づくり感と物語に溢れていた。多くのお客さんから「すごいですね」「素敵ですね」と声をかけられ、「うれしかった」とコメントするボランティアは多い。こんな風に自分の仕事を褒められるという経験は、普通の生活ではなかなか味わえないものだ。人を感動させ、人から感謝されることは、人にとってこの上ない喜びである。この喜びを味わってもらう、これも土祭の重要な目的だったように感じる。
「小さな成功体験が大切」だと西上さんは言う。その成功体験こそ、町への愛着やそこに生きることへの誇り、そして次への行動につながっていくものではないだろうか。町民がボランティアでつくるという運営方法は、けっして楽なものではない。しかし、この「小さな成功体験」の積み重ねを町民、行政、双方が経験していかない限り、「協働」なんていうものは成し遂げられない。そういった意味でも、これからのまちづくりのあり方を関わったすべての人が肌で感じられた、ちょっと過酷なお試し体験だったのかもしれない。

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